部屋探しをしていて「アパート」と「マンション」、何が違うのか気になってしまった人も多いはず。
なんとなく、マンションは高級で、アパートはチープというイメージがありますが、この2つの違いは何なのでしょうか?
また、間取りなどを表記する際によく見る「1K」や「2LDK」と言った表記。頻繁に見かけるだけに、今更人に意味も聞きにくい、という人もいるのではないでしょうか。
今回は、アパートとマンションの違いや、部屋探しで行き当たる用語などについて解説していきます。
◆アパートとマンション
アパートとマンションについて、明確な基準や区別と言うものは存在しません。
法律上のルールがあるわけでもなく、業界内で守らない決まりがあるわけでもありません。
極端な話にはなりますが、築50年の木造の住宅にマンションの名をつけることもできますし、立派な十数回建ての集合住宅をアパートと呼んでも問題ないのです。
名前は自由にでき、つけた名前によって何かしらのペナルティが課されることもありません。
アパートと呼ぶか、マンションと呼ぶかは不動産屋や大家が決めます。一応基準はあるのですが、語感で決めてしまうこともあるため、名前を物件選びの基準にしてしまうのは危険です。
●一般的な区別
いくら名前を自由につけられると言っても、一般的に抱かれるイメージをかけ離れた呼び方をされることは稀です。名前は一種の宣伝でもあり、借り手を騙すつもりでない限り、一般的なイメージとかけ離れた名前をつけることは損でしかないためです。
基本的に、アパートとマンションは構造によって分けられます。木造はアパート、鉄筋コンクリート造はマンションと呼ばれることが多いです。
ただ、木造でもマンションと名付けられるケースもあり、マンションの文字を見ただけで鉄筋コンクリート造だと決めつけることは避けましょう。
●アパートに分類される物件
木造、軽量鉄骨造(プレハブ工法)の建物がアパートに分類されることが多いです。
こうした構造の建物は音が響きやすく、防音性の低い物件が多いです。極端に防音性の低い物件になると、くしゃみの音どころか、コップをテーブルにおいた音すら隣の部屋に聞こえるような所もあります。
防音性に乏しい分、家賃は比較的安めの傾向にあります。
●マンションに分類される物件
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)、軽量気泡コンクリート造(ALC造)の建物がマンションに分類されることが多いです。
木造に比べると防音性の高い建物が多く、丈夫なことが多いです。しかし、鉄筋コンクリート造にもかかわらず壁を薄くし、防音性の十分でない建物も存在するため、鉄筋コンクリート造だからといって安心はできません。
防音性の他、気密性にも優れていることが多く、木造アパートに比べると家賃は高めです。
●なぜ横文字の名前が多いのか
マンションの名前もアパートの名前もカタカナのものが圧倒的に多いです。
理由は簡単「かっこいいから」。それだけです。少しでも高級感をまして、魅力的な物件に見せようという努力の一環です。
ただ、中には本来の言葉の意味と合わない名前をつけられている物件も少なくありません。
マンションやアパートによく使われる横文字を見てみましょう。
・アパート
英語で共同住宅を意味するApartmentが元です。
・マンション
英語のMansionが由来ですが、本来は「大豪邸」を表す言葉です。そのため英語圏の人に「マンションに住んでいる」と伝えると変な誤解を与える可能性もあります。
英語では、日本でMansionと呼ばれるような住宅はCondominium(コンドミニアム)と呼ぶのが普通です。
・ハイツ
「◯◯ハイツ」「ハイツ○○」とよく使われている言葉です。
ハイツと英語で書くならHeights。見てわかるように本来なら丘や高台などの高所を指す言葉です。そのため本来ならば高台の集合住宅につけられる語なのですが、日本では立地に関わらず使用されていることが多いようです。
・メゾン
こちらはフランス語由来。Maisonはフランス語でずばり「家」。
和訳すると何でもない言葉ですが、フランス語だとなんとなくかっこいい雰囲気がでます。
・コーポ
コーポはコーポラスの略で、さらにコーポラスはCorporate House(もしくはCooperative House)の略です。コーポラスは鉄筋造の集合住宅を指す和製英語です。
和製英語の略称の略称という由来の分かりにくい言葉です。
・レジデンス
英語で邸宅を意味するResidenceが元です。一応高級なマンションにつけられやすい傾向にあります。
・ヴィラ
Villaは郊外の住宅や別荘を指す言葉です。
・アーバン
英語だと「Urban」となり「都会的」と訳されます。しかし残念ながらアーバンと名付けられているからと言って、便利な場所にあるとは限らないようです。
・パレス
「城」です。自宅を「自分の城」と表現するのに近い感覚でしょうか。
◆マンション、アパートの防音性
●アパートの防音性
木造や軽量鉄骨造であることの多いアパートは防音性に難があるケースが多いです。
構造上どうしても音が響きやすく、話し声や足音、トイレの流す音などが聞こえやすいです。他の部屋の音が気になりやすいだけでなく、自分自身も騒音の発生源とならないよう注意して生活する必要があります。
アパートに住む場合、他の住民の騒音が一番気にならないのは最上階の角部屋です。接している部屋が少なければ隣の音が気になる心配は減ります。ただ、上の階に住むのであれば自分の足音に気をつける必要があります。
反対に、階段近くの部屋は避けた方が無難です。単に通り道というだけでなく、階段は音が響きやすいだめです。階段によって上下の階がつながっているため、他の階の音がそこから聞こえてくる可能性もあります。
また、ロフトのある物件も足音が気になりやすいです。はしごや階段の上下移動はただ床を移動するよりも大きな音になりがちです。
●マンションの防音性
鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造の建物は防音性が期待できます。木造よりも壁が厚かったり、気密性が高かったりするためです。
ただ、中には鉄筋造でも音が筒抜けの物件もあります。壁が薄かったり、間取りが悪かったりすると、マンションでも騒音に悩まされる可能性は十分あります。
またマンションでも軽量気泡コンクリート造は防音性が低いと言われやすいです。ただ、こちらの場合も構造以外の部分の影響が大きく、ALCだからといって一概に悪いとは言い切れません。
マンションの中でも、分譲賃貸マンションは比較的防音性に優れていると言われています。
本来は分譲、つまり購入されることを想定したマンションであるため、最初から賃貸目的で建てられた物よりも作りの良い場合が多いです。
短期間で住人の変わる賃貸マンションとは異なり、高いお金を払って長期間住む分譲マンションを借りられるのはかなりメリットが大きいです。ただし、家賃は少し高いです。
●新しい建物の方が防音性は高い
新しい物件ほど、防音性は期待できます。
経てられてから数年、十数年と経てばたつほど、少しずつではありますが建物は劣化してしまいます。窓枠や隙間を埋めるコーキング材などは外気に晒されるため、劣化も早いです。こうした劣化により、建物の防音性能もどんどん落ちていってしまいます。
また、建築に使われる素材や構造も日々進化しているため、新しいもののほうが優れている可能性が高いです。
●立地も重要
騒音は他の住人によるものだけではありません。
マンションやアパートが建っている場所も大きく影響します。
大きな道路や線路の近くは当然うるさいです。近くに学校や救急外来のある病院がある場合も騒音には注意です。幹線道路の近くのマンションよりも、郊外の木造アパートの室内のほうがずっと静かだということも十分ありえます。
楽器を演奏する人や、ペットを飼っている人で自分が騒音を出す側になる可能性のある場合は、周りがうるさいほうが楽かもしれませんが、静かに暮らしたい人は周囲の状況にも気を配りましょう。
どうしても賑やかな地域に済みたいという場合は、窓ガラスが2重の部屋がおすすめです。ガラスが一枚増えるだけで外の音がぐっと聞こえにくくなりますし、冷暖房の効率もよくなります。
◆マンション、アパートの気密性
建物の気密性は冷暖房の効率に大きな影響を及ぼします。冷暖房費を節約したいのであれば、気密性の高い部屋を選ぶようにしましょう。
ただ、気密性の高い部屋は湿気が溜まりやすいという欠点もあるため、注意も必要です。
基本的に木造よりも鉄筋コンクリート造の建物のほうが気密性は高いです。
●マンションは湿気に注意
鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の部屋は温度が逃げにくいだけでなく、湿気も逃げづらいです。冷暖房の効率は良いのですが、気をつけないとカビが発生する可能性があります。
とくに地面に近い1階に住む場合は注意が必要です。定期的に換気をしたり、除湿機を活用したりして湿気を減らすように心がけましょう。
●木造住宅はエアコンの面積に注意
鉄筋コンクリート造の部屋から木造の部屋にエアコンも持ち込む際は注意しましょう。
エアコンカタログには「◯畳用」と広さの目安が書かれています。しかしよく見るとこの目安、木造と鉄筋コンクリート造では同じエアコンでも対応する広さが違うのです。木造の部屋は気密性が低いため、同じ広さでも温めたり冷やしたりするのに多くのパワーが必要になります。パワー不足のエアコンで冷暖房を行おうとするうと、無駄な電力を使ってしまうことになり、電気代が余計にかかってしまいます。
木造と鉄筋コンクリート造で対応する広さが違うのはエアコンのだけでなく、温風ヒーターや加湿器でも同様です。
気密性が低いため、湿気はたまりにくいです。木自体が湿気を吸収するため、ある程度は自然に調整されます。ただ、雨漏りを起こすとカビが生えたり床や天井が腐ったりする危険性があります。
◆築年数は重視すべき?
新築物件や経てられてから日の浅い物件は家賃も人気も高いです。一方で、リフォーム済みで見た目の綺麗な物件でも、築年数の経っている物件は家賃も安く手頃なものが多いです。
しかし、快適性を重視するのであれば、新築などの新しい物件を選んだほうが良いです。
建物の表面は勿論、構造自体も経年劣化をおこしています。部屋に付随している設備が古いことも多く、性能が不十分だったり、使いにくかったりする可能性が高いです。また、間取りも古い生活様式に合わせたものとなるため、家具の大きさがあわなかったり、コンセントの数が少なかったりします。
●リフォームされているから大丈夫とは限らない
水回りや壁や床などの表面が綺麗になっているからと言って、新築物件並みの快適さが求めるのはこんなんです。
建物の歪みによる隙間の広がりなどはリフォームでも対象が難しく、騒音や気密性の低下は避けられません。室内は綺麗でも玄関ドアがそのままで、廊下の音が筒抜けという物件もあります。
また、建築から年数が経っている物件は安全の基準が古いままの建物も多く、いざという時のことを考えると新しい建物に住むに越したことはありません。
◆快適性は建物そのものや環境以外の影響も受ける
物件の快適性は防音性の良さや立地、建物の構造以外にも強く影響されます。
それは、他の住人。
いくら防音性が高い建物だったとしても、隣の人が夜遅くまで騒いでいたり、テレビの音量がやたら大きかったりしていては、手のうちようがありません。
マナーの悪い住人は騒音以外にも色々ストレスやトラブルの原因になります。ゴミ捨てやペットのマナーを守っていない人がいればストレスが溜まりますし、ガラの悪い人が住んでいたら怖いです。
不動産業者はどんな人が住んでいるかということやトラブルがないかなどの問題について、入居前にはっきりと教えてくれない事がほとんどです。大抵は「大丈夫です」で済まされてしまいます。
トラブルを未然に避ける一つの手段としては、共用部が綺麗かどうかチェックすることです。ゴミ置き場が散らかっていたり、廊下や階段に落書きのあったりする物件は避けましょう。汚れや壊れたものが放置されているような物件は、何かトラブルや困ったことがあってもなかなか対応して貰えない可能性が高いです。
ただ基本的に、周囲にどんな住人が住んでいるかは運です。住んでみないと分からないということはどうしてもあります。
◆物件探しの前に知っておきたい専門用語
ここからは今さら聞けない基本的な用語を解説していきます。
・1KとかLDKって?
数字は部屋数、アルファベットは部屋の種類を表します。
Kはキッチン、Dはダイニング、Lはリビングです。
1Kならキッチンともう一部屋、2DKならダイニングキッチンと2部屋です。
キッチンとダイニングキッチンは、広さで分類されています。目安いですが、6畳未満ならキッチン、6畳以上ならダイニングキッチンと呼ばれることが多いです。
・ワンルーム
キッチンと部屋が一つに纏まっている物件です。
・ロフト
天井の低い「小さな二階」です。はしごで昇り降りすることが多いです。
おしゃれに見えたり秘密基地に見えたり人気のロフトですが、部屋としての使い勝手は今ひとつです。熱が篭りやすいため夏は非常に暑いです。
物置としても使えますが、荷物を持った状態ではしごを昇り降りするのは意外と大変です。
・UB
ユニットバス。壁と浴槽が一体になった浴室で、水漏れのリスクが少ないのが特徴です。
・UT
ユーティリティの略。建築用語としては、洗濯機や洗面台をおくスペースをさします。
・WCL、WIC
ウォークインクローゼットのこと。人が中で歩けるぐらいの広いクローゼットです。
・EV
エレベーターです。3階以上でエレベーターがない物件は引っ越しが大変。
・MB
メーターボックスの略です。電気や水道など。
・PS
パイプシャフト、パイプスペースのこと。水道やガス管などの通るスペースを指します。
・室外機置き場
エアコンの室外機のためのスペースです。
・帖
部屋の広さを示すのに「◯帖」と表記されることがありますが、基本的には「◯畳」と同じです。
・勾配天井
角度の付いた天井です。天井の高さによっては圧迫感があります。また、照明がつけにくいのも欠点。
・下がり天井
配管などを通す都合で、天井の一部が低くなっていること。
・CF
クッションフロアーのことです。塩ビ製のシート使用しており、フローリングよりも柔らかいため防音性に優れています。防水性もあるため掃除も楽です。
・打ちっぱなし
コンクリートの上に壁紙などを貼らず、そのままにしている壁のこと。見た目はおしゃれですが、冷暖房の効率は最悪です。お店などには良いのですが、住まいとしてはあまりおすすめしません。
・シャンプードレッサー
洗面台のうち、ハンドシャワーがついているタイプのもの。洗面台で髪を洗うのに便利です。
・宅配ボックス
宅配便を受け取るためのロッカーです。マンションのエントランスなどに設置されます。通販をよく利用する場合には重宝します。
・LGS
Light Gauge Steelの略で、軽量鉄骨造の建物を指します。防音性は低め。
・PC
Precast concreteの略で、プレキャストコンクリート造、プレコンなどと呼ばれる工法、またはそれを使用した建物を指します。
・RC
Reinforced Concreteの略。鉄筋コンクリート造のこと。
・SRC
Steel Reinforced Concreteの略。鉄骨鉄筋コンクリート造のこと。
◆色々な住居形態
●シェアハウス
複数の人で一つの家や部屋を借り、一緒に住むものです。
家賃以外にも光熱費を折半するため、生活費をぐっと抑えることができます。
他人と生活することになるため、住人同士の相性が悪いと辛いです。また、プライバシーを重視する場合や静かに過ごしたい人には向きません。
●学生寮・学生マンション
学生だけが入居できる物件で、食堂や洗濯機など設備が充実している場合が多いです。
家賃も比較的安価で、学校の側にあることが多いため通学も楽です。入居者が学生だけに限られているため、防犯面でも安心感があります。
ただ、友人を連れ込んだり部屋で飲み会をしたりする可能性も高くなるため、うるさくはなりやすいです。